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漢方薬

■漢方とは

漢方のルーツは紀元前の中国にさかのぼります。

この医学が中国から日本に伝わってきたのは5~6世紀とされており、長い年月をかけて日本人の体質や、日本の風土に合うよう改良が積み重ねられてきました。そうして作られたものが日本独自の伝統医学である「漢方」です。

その呼び名がついたのは、江戸時代末期にオランダから入ってきた西洋医学を「蘭学」とよび、それと区別するために日本の伝統医学を「漢方」としたのが始まりです。

西洋医学が病気の病因となる悪い部分をターゲットに攻撃することが治療の中心であるのに対し、漢方医学は人間が本来持っている自然治癒力を高めて、心身の状態を整えていくことを基本にしていますので、この点が大きな違いです。このように西洋医学とは考え方が異なるのですが、現在では多くの臨床現場で西洋薬と組み合わせた治療を行い、お互いの長所を生かす方法で使用されています。

漢方薬の成分はすべて自然界に存在する植物や鉱物などを組み合わせたもので、原料となる生薬は5000種類以上あるともいわれています。生薬が持つさまざまな作用を複数組み合わせ、調合することで漢方薬の多様な効果が生み出されているのです。これらの生薬を細かく刻んで、混ぜ合わせ、煎じて飲むというのが、古来から伝わる漢方薬の代表的なスタイルですが、現在、医療機関で医師が処方する「医療用漢方製剤」のほとんどがエキス剤です。これは従来の煎じ薬を濃縮、乾燥し、細粒や錠剤などに加工したもので、1包ずつアルミパック包装され、持ち運びに便利で保存性に優れ、飲みやすいのが特徴です。

写真1

 

○柴苓湯(さいれいとう)

柴苓湯は主に、白朮(ビャクジュツ:オケラの根茎)、沢瀉(タクシャ:サジオモダカの茎)、猪苓(チョレイ:チョレイマイタケの菌核)という水分循環を改善し、無駄な水分やむくみを取り除く生薬と、柴胡(サイコ:ミシマサイコの根)、黄芩(オウゴン:コバネバナの根)という体の免疫反応を調整し、炎症をやわらげる生薬から構成されており、これらの生薬が一緒に働き効果を発揮します。

また、小柴胡湯と五苓散という漢方薬をあわせた漢方薬で、「柴」と「苓」をそれぞれから取って、「柴苓湯」という名前になっています。

通常、様々な疾患に伴うむくみ(浮腫)や、急性胃腸炎などよる下痢・嘔吐・口の渇きなどの治療に用いられます。

下肢静脈瘤では、血栓性静脈炎を伴う場合や炎症所見が顕著な場合に適しています。

写真2

 

○桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)

桂枝茯苓丸は主に、桃仁(トウニン:モモの種子)、牡丹皮(ボタンピ:ボタンの根皮)といった血液循環や血行を良くすることで血行障害やうっ血を改善する生薬や、桂皮(ケイヒ:ケイの樹皮)、茯苓(ブクリョウ:マツホドの菌核)といったのぼせや冷えを改善する生薬から構成されています。

血液の流れが滞って、巡りが悪くなった状態を、漢方では「瘀血(おけつ)」と呼びますが、桂枝茯苓丸はこの瘀血を改善する代表的な漢方薬です。

また、ホルモンのバランスを整える効果も報告されています。

下肢静脈瘤では、血流改善作用による倦怠感や痺れの改善が期待できます。

桃仁

○五苓散(ごれいさん)

五苓散は主に、猪苓(チョレイ:チョレイマイタケの菌核)、茯苓(ブクリョウ:マツホドの菌核)、沢瀉(タクシャ:サジオモダカの茎)、白朮(ビャクジュツ:オケラの根茎)といった水分循環を改善し、無駄な水分やむくみを取り除く生薬から構成されています。

体の中の「水(すい:飲食物中の水分を消化吸収によって人の体に必要な形にして体をうるおすもの)」の巡りが悪く、余分な水分が体内で滞っている状態を、漢方では「水毒」といいます。水毒では、頭痛やめまいなどの症状や、水分代謝が悪くなっているため、体が重く感じられたり、むくみや冷えといった症状が見られます。

また、お酒を飲み過ぎた次の日に、お酒が抜けなくてつらい”“顔がむくんでいる”という経験は多くの方がおもちではないでしょうか? 実はこれも一時的な水毒にあてはまります。

そしてこのような水毒を改善する代表的な漢方薬が五苓散です。

五苓散は、上記の柴苓湯(さいれいとう)にも配合されており、炎症症状の有無で柴苓湯もしくは五苓散が選択される事が多いです。

 沢瀉

 ○芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)

芍薬甘草湯は、芍薬(シャクヤク:シャクヤクの根)、甘草(カンゾウ:カンゾウの茎)といった痛みを和らげる2つの生薬から構成されています。手足や内臓の筋肉の緊張をゆるめて痛みをやわらげる働きがあり、こむらがえりなどの急激におこる筋肉のけいれんを伴う痛みを改善し、お腹や腰の痛みも和らげます。

漢方では、寝ているときや運動中に急に足がつるといった急激な筋肉の痛みは、「気(目に見えないが人の体を支えるすべての原動力のようなもの)」と「血(けつ:全身の組織や器官に栄養を与えるもの)」が一時的に不足している状態。言い換えれば、動力と栄養分が足りなくなった状態と考えます。就寝時や急に激しい運動をして、たくさん汗をかいたときに起こりがちな足のつり(こむらがえり)には、不足した動力と栄養分を補給することで対処します。

芍薬甘草湯は、不足してしまった「気」と「血(けつ)」を補い、筋肉の急なけいれんを鎮める漢方薬です。

 芍薬

○人参養栄湯(にんじんようえいとう)

人参養栄湯は主に、消化吸収機能を高め元気をつける人参(ニンジン:オタネニンジンの根)、黄耆(オウギ:キバナオウギの根)、滋養強壮作用のある当帰(トウキ:トウキの根)、地黄(ジオウ:アカヤジオウの根)、血行を良くする桂皮(ケイヒ:ケイの樹皮)といった生薬で構成されており、全身の様々な機能低下と栄養状態を改善します。

漢方では、この作用を「養栄」といい、人参と組み合わせて人参養栄湯と命名されています。

昔より食欲も元気もなくなってきた、疲れやすく人に会ったり、出かけるのもおっくうになったという事はありませんか? 漢方では、このような状態を「気血の不足」が原因と考えます「血(けつ)」の材料は飲食物であり、消化吸収によって「血」のもとになるものを補いますそして「気」の作用によってスムーズに血が生成されていきます。

加齢や病後などで食欲が落ちてきた、昔よりも元気がないなど消化吸収に問題があると、補われるはずの「気血」を十分に補えず、心身への栄養分が足りなくなってしまいます。「気血」の不足は、身体虚弱だけでなく、精神不安、不眠、体力低下、やせてくるなど、さまざまな症状につながると漢方では考えます。身体虚弱を改善するためには、「気血」の不足を補うことが必要ですが、その代表的な漢方薬が人参養栄湯です。

 人参

○防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)

この薬は、脂肪を減らす作用があり、肥満に対する漢方薬として認知されています。一般的に体力のある、太鼓腹の方に合うとされています。便通も良くする作用もあり、便秘を使用目標とすることもあります。

補中益気湯(ほちゅうえっきとう)

補中益気湯は、胃腸を丈夫にして体力を回復させ、元気を取り戻すのを助ける漢方薬です。

西洋医学では、体がエネルギーをつくるための栄養素を補給することで、疲労回復を目指します。体の機能の一部を肩代わりするようなものなので、比較的早く動けるようになりますが、肩代わりがなくなるとまたいずれ元に戻ります。

漢方では、疲れは「気」の問題と考え、「気」を補い、めぐらせる方法をとります。「気」は人の体の機能の原動力で、人間の体にそなわっている「治そう」とする力のもとになっています。漢方は、回復する過程が大事だと考え、「治そう」とする力をサポートすることで症状を改善していくので、機能を肩代わりするというよりは、うまいやり方に導いてくれるといった感じです。そのため、時間はかかりますが、体のちょうどいい状態を維持しやすくなります。

補中益気湯の「補中」とは、衰えた胃を補い強化すること、「益気」とは、滅入りがちな気持ちをひきたてるという意味で、消化器系の機能低下、体力の低下・虚弱を回復させることを目標としています。胃腸機能が衰えて疲労感、倦怠感を訴える人で、普段から病弱な体質、体が疲れやすくだるい、食欲がない、寝汗をかくなどの症状や病後の衰弱などがある方に用いることで効果があります。

単に元気をつけたい場合は補中益気湯、さらに血行改善なども追加したいときには人参養栄湯が使われます。

補中

八味丸(はちみがん)、八味地黄丸(はちみじおうがん)

八味丸(八味地黄丸)は別名「腎気丸(じんきがん)」とも呼ばれています。

漢方でいう「腎」とは、現代医学でいう腎臓だけでなく、副腎、膀胱、そして生殖器を含めた総称です。

八味丸(八味地黄丸)は、山薬(サンヤク:ヤマノイモ根茎)、山茱萸(サンシュユ:サンシュユの果肉)といった滋養強壮作用のある生薬、血の巡りを良くする牡丹皮(ボタンピ:ボタンの根皮)、体を温める桂皮(ケイヒ:ケイの樹皮)、附子(ブシ:トリカブトの根)など、腎のはたらきを良くする生薬を主薬に8種類の生薬から構成されており、新陳代謝機能を高めて体の弱った機能を補います。

特に、八味丸(八味地黄丸)は、手足が冷えたり、むくんだりといった、冷え、下肢痛、腰痛、足のしびれをともなう方に有効です。加えて、尿の出にくい方や頻尿の方にも効果があると言われております。

また、かの徳川家康も八味丸(八味地黄丸)を愛用していたと云われており、平均寿命が40歳程度だったとされる時代背景の中、75歳まで長生きしたそうです。

 

※八味丸と八味地黄丸はどちらも同じ生薬で構成されています。八味丸は生薬をすり潰してそのまま蜂蜜で練り合わせた「丸剤(がんざい)」とよばれる漢方薬です。八味地黄丸は生薬を煮出し、その成分を乾燥させ粉末状にした「エキス剤」とよばれる漢方薬です。

徳川

桂枝加苓朮附湯(けいしかりょうじゅつぶとう)

この薬は、温める作用のある桂皮(ケイヒ)、痛みを和らげる芍薬(シャクヤク)、温め痛みもとる附子(ブシ)、余分な水分を取り除く茯苓(ブクリョウ)などが配合されています。冷えて痛みを伴う症状に用いられます。具体的には、関節痛や神経痛、冷えによる痛みに適応します。

柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)

柴胡加竜骨牡蠣湯は主に、鎮静作用のある竜骨(リュウコツ:古代ほ乳類動物の化石)、牡蛎(ボレイ:カキの殻)、炎症を抑える柴胡(サイコ:ミシマサイコの根)、黄芩(オウゴン:コガネバナの根)、胸のつかえや吐き気を抑える半夏(ハンゲ:カラスビシャクの塊茎)といった生薬から構成されており、神経の高ぶりを鎮めて、心と体の状態を良くする漢方薬です。

漢方では、眠りには「気」が関連していると考えます。たとえば、赤ちゃんがたくさん寝られるのは、「気」が十分に足りていて、体の中をきちんとめぐっているからです。
ところが、大人になると疲労や精神的ストレスといったものが増えてきませんか? 疲労やストレスは「気のめぐり」を邪魔して、止めてしまいます。「気」が止まると体に熱がこもり、こもった熱は頭に昇って脳を疲れさせてしまいます。

柴胡加竜骨牡蛎湯は、「気」をめぐらせ、体にこもった熱を冷ますとともに、心を落ち着かせることで諸症状を改善します。

竜骨(古代ほ乳類動物の化石)や牡蛎(カキの殻)という天然のカルシウムが入っていることも特徴です。

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当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)

当帰芍薬散は主に、血行を良くして貧血症状を改善し、体を温める作用のある当帰(トウキ:トウキの根)、川芎(センキュウ:センキュウの根)、痛みをとる芍薬(シャクヤク:シャクヤクの根)、むくみを改善する白朮(ビャクジュツ:オケラの根茎)、茯苓(ブクリョウ:マツホドの菌核)、沢瀉(タクシャ:サジオモダカの茎)といった生薬から構成されています。

血液は全身をめぐって、栄養素や酸素などを運んでいます。漢方の考え方にも、全身をめぐってからだに栄養をあたえるものがあり、「血(けつ)」と呼ばれています。ちなみに、「血(けつ)」と血液は、ほぼ同じ概念で、栄養を全身に巡らせる働きがあります。「血(けつ)」の量が少ない、もしくは薄い人は体のすみずみまで栄養や熱が行き届かず、その結果、冷えなどの症状が現れます。また、大切な「血(けつ)」がうまく体中をめぐらなくなると、水分代謝も悪くなり、体のなくてよいところに余分な水分がたまり、その水分が体を余計に冷やしてしまい冷えを引き起こします。

当帰芍薬散は、全身に大切な栄養を与え、血行を良くするのと同時に、水分代謝を整えることで余分な水分を体からとり除いて、冷えなどを改善します。

当帰

加味逍遙散(かみしょうようさん)

この漢方薬は、上記の当帰芍薬散の使用目標に加え、イライラ、眠れないなどの症状がみられる方に用いられます。

「気」が熱に変わると、暖房で温められた空気が上に上がっていくように、上に上にとあがっていきます。加味逍遙散は、この「気」を下に降ろして全身にめぐらせるとともに、たまった熱を冷やします。さらに、不足している「血(けつ)」を補うことで、体のバランスを整え、自律神経を調整し、イライラやのぼせを鎮めて、血行を促進する漢方薬です。

また、加味逍遙散の「逍遙」とは、ぶらぶら歩くという意味があり、「いろいろな症状から解放されて快適になる」という効能が表現されています。

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白虎加人参湯(びゃっこかにんじんとう)

白虎加人参湯は主に、熱を冷ます石膏(セッコウ:含水硫酸カルシウム)、知母(チモ:ハナスゲの根茎)、体液を潤す粳米(コウベイ:玄米)、滋養強壮効果を発揮して、血液の流れを良くする人参(ニンジン:オタネニンジンの根)といった生薬から構成されており、体の熱を冷まし、体内に水分を保持する働きをします。そのため、口の渇きや体の火照り、痒みなどに使われる漢方薬です。

また、白虎加人参湯の「白虎」とは、成分として入っている石膏が白いことに由来しています。

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○当帰四逆加呉茱萸生姜湯(とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう)

当帰四逆加呉茱萸生姜湯は血行をよくして、体を温める作用のある当帰(トウキ:トウキの根)、主に痛みをとる桂皮(ケイヒ:ケイの樹皮)、芍薬(シャクヤク:シャクヤクの根)、その他、温めて痛みを緩和する細辛(サイシン:ウスバサイシンの根)、呉茱萸(ゴシュユ:ゴシュユの果実)、生姜(ショウキョウ:ショウガの根茎)といった生薬から構成されており、血行をよくして体をあたためる漢方薬です。

西洋医学には冷え症という病名はなく、体が冷える体質のことを「冷え症」と表します。そのため、治療には血管を拡張するビタミン類などが処方されます。

一方、漢方では、冷えを病気と考え、体の中から治していきます。たとえば、「気」が不足している場合は、「気」を補いながら熱をつくり出す力を助ける治療を、「血(けつ)」が滞っている場合(瘀血)は、「血(けつ)」のめぐりを良くするような治療を行います。

当帰四逆加呉茱萸生姜湯はそのような冷えの原因にはたらきかけ、足りないものを補ったり、めぐりを良くしたりすることで、冷えを改善します。

症状としては、手足の冷えを感じている方の、頭痛、腰痛、下腹部痛などの痛みを緩和たり、寒冷が引き金で発生するしもやけにも効果があります。

また、「四逆」とは四肢の冷えを表します。

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